ポルトガル 



 夜の顔:ファド(4日目) 
 さて、ワイナリーから戻ってきた一行は一人も欠けることなく夜の町へ。オプショナルで案内されたのは「ファド」のディナーショーです。「ファド」とはラテン語のfatum(運命)が語源といわれ、実らぬ恋の哀しみ、人生の苦しみ、海に出たまま戻らぬ肉親への想いなど、運命に翻弄される人の心を歌うもの、と定義されるようです。もっともポルトガル人にとっては、日本でいう民謡のような物として捉えられているのですが。歌を聴き、ほろ酔いになり、そしてまた歌を聴く。それが楽しみなのだそうです。
 さて、ディナーショーというからにはステージが用意されています。そこを基点に半円を書くように客席があり、食事をしている目の前で歌い手が声をはりあげるのです。バックバンドはヴィオーラとギターラという弦が2本だけ。マイクもないのに3人で競ういあうような音がお店中に響きます。上手い下手というのは正直わかりませんが(笑)、音程が「?」ということはとりあえずなかったし、何よりも力強い声音が魅力的! オペラだと物悲しい雰囲気が表に出ているのですが、ファドはそれでもどこかに救いを乱しているような響きがあると思います。あと、意外だったのは男性の歌手がいること。写真の多くは女性が多いので、「男の人もいるんだね〜」と皆で妙な頷き方をしておりました。
 問題があったとすれば、マナーの悪さかな。西洋系の家族連れが歌も聴かず自分たちの話で盛り上がり、歌声を消してしまうという惨事が……。歌ってるおばちゃん(失礼)も呆れて歌うのやめちゃうし。スタッフが注意しても聞かないし。君たち、何しにこの店に来たの? という雰囲気で場が一瞬しらけてしまいました。マナーを守れないなら来なければいのに……。ただたんに「ファドを聞きながら食事をした」という事実が欲しかったんだろうなぁ……って、それは私も同じか(笑)。


 思う存分リスボン満喫(最終日) 
 ポルトガル最後の日―――といっても飛行機は翌日ですが、ホテルを出るのが4時(もちろん朝!)なので、ノーカウントです―――は、リスボンのホテルから出発。ポルトに行く前と同じホテルなので、朝食は期待できず。Ryanにしては珍しく朝食抜きで外出をいたしました。まずは地下鉄駅で市内フリー券を買い、第一の目的地へ。
 さて、みなさま、Ryanがポルトガルに旅行をすると決めた目的を覚えておいでですか? そう、マスターカードの世界! ということで、真っ先に向かったのはロシオ駅側のレスタウラード広場。この脇から出ているケーブル―カーは急な坂道を上り下りする住民の大事な生活路線。なんせ、ケーブル―カーで5分の道を歩くと20分かかるんですもの。スキーやったら楽しそうだなぁという急傾斜です。乗員数も、手すりに掴まれなくなったらそこでストップ。見た瞬間に驚いて、次には「絶対無理!」と悟るほどきついのに、歩く人は歩くのね……窓から外を見ていたときに手を振ってくれたおじさんは汗だくでした(笑)。
 坂を登ったところで少し散策すると、サン・ロケ教会というところにたどり着きました。ここは1584年にリスボンへとたどり着いた天正遣欧少年使節が1月ほど滞在したという教会です。リスボンの教会といえばシンプル+アズレージョというイメージがあったのですが、壁画、天井画もあるのでここはどちらかと言えばフランスとかに近いのかな。あ、でもどこか滲み出る闇の部分というか、暗いイメージが強かったです。何よりも裁断のように飾ってあった無数の”手”が……最初人形かと思ったんですけれど、他の教会できちんと中身を紹介しているところがありました(涙)。写真はありますが、ちょっと恐ろしくてUPできません。興味ある方います? メールで差し上げますよ(笑)。
 登ったら降りる。これ、常識ですね。なが〜〜〜い階段をひたすら降りて、再び広場へ。そのまま歩いてロシオ広場へと向かいます。ここは凱旋門が広場と商店街(と言っていいんだろうか?)の間にあり、バスの発着地点となっています。しかし……どのバスがどこへ向かうのやら。Ryanが次に向かいたいのはサン・ジョルジュ城址といって、世界遺産(@NHK)でも紹介されたところです。そこからはリスボンの町並みが一望でき、夕焼けで照らされ紫に染まった城壁は綺麗なのだそうです。でも、どのバスが向かうのよ!? 困ったRyanはその辺に立っていた警察官のおじさんを捕まえました。すると「バスじゃなくても市電で行ける」と乗り場を教えてもらいラッキー♪ ……このとき、Ryanはポルトガル人の性質を忘れていました。教えてもらったとおりに行っても乗り場がない!!! おまわりさんが観光客に嘘教えてどうする……。仕方がないのでロシオ広場の位置からあたりをつけ、ガイドブックの頼りない地図を相棒に道を登り始めました。
 途中、バラ窓で有名なカテドラル(教会)で寄り道。出たところでタイミングよく来たバスに乗り込むと「あ!」という声が。見ると同じツアーで唯一(笑)の若いご夫婦がいらっしゃいました。訊けば目的地が同じなので城址見学+お昼までご一緒することになり、バスで揺られながら前日飲んだワインの話で盛り上がりながら丘の上の目的地へ。チケットセンターに向かうと、大学生と思しきお兄さんと会話。「学生だよね?」と真っ先に聞いてくれたので「学生証ないんだけど、入れてくれる?」「ないの?」「そう、忘れたの」「それならしょうがないな」と学生料金で入れてくれました♪ 時々あることです、はい(笑)。ちなみに左の写真は城址からの眺めです。
 さて、サン・ジョルジュ城址でテージョ川(海みたいに見えるけれど、川なんです!)と市内を一望した後、お昼を一緒にとって再び一人で散策です。名前に惹かれてサン・ヴィンセンテ・デ・フォーラ教会へと向かいます。途中市電に乗ろうと思ったのに、なぜか停車場で停まったまま動かないので、仕方なく歩け歩け運動となりました。そして彷徨うこと30分以上、下町のような場所にある協会に辿り着くと、教会はシエスタの時間で閉まっていました……なんで教会がシエスタとるのよ(涙)!! しかもタイミング悪くシエスタ時間が始まったばかり、周りには時間を潰すようなところもありません。しかたなくバスに乗り、再びロシオ広場へと戻る羽目に……ま、いいんだけどさ。
 先ほど商店街と書きましたが、ロシオ広場周辺は買い物客でも賑わう場所です。中でも特に靴屋が多いのね。お土産探しと称しながら靴を買ったりつまみ食いをしたり、スーパーのような場所でバーゲンをやっていたので覗いたり。あ、途中でカメラマンに囲まれたセレブっぽい人を見ましたよ。お店のオープニング記念か何か? 道路なのに赤い絨毯が敷かれ、白のリムジンに女性が乗り込んでいきました。そしてその先ではドラマのロケがやっていたり……やっぱ適当なんだ。
 右の写真は空が綺麗でしょうv ここはロシオ広場からちょっと脇に入ったところにあるカルモ教会です。18世紀に起きた大地震で多々物が崩れ、今では外壁と部分的なものしか残っていませんが、それでも重要な建築物。特にポルトガルは自身がこのとき以来起きていないので、地震というものを物語るために大切な役割を果たしています。入り口側にある階段居座ってぽけっと空を見上げるのも気持ちいいものですよ。透き通るような蒼さがたまらんのです。ちなみに残された室内には展示物があり、なぜかオーストリアの血を引く女王様の棺桶があったり、ミイラがいたりします(笑)。大英博物館のジンジャーちゃんよりもっとしっかりしている感もありました。固定するための紐が痛そうなので、ちょっと可哀想だったな。
 時間もそろそろ夕方……なはずなのに、一向に暗くなりません。明るいのをいいことに違う場所へ。地下鉄を乗り継いで向かったのは、市外に近い場所にあるオリエンテ駅。ここは以前万博会場として整備されたところで、今はヴァスコ・ダ・ガマ・ショッピングセンターがそびえています。一応企業も集まっているようなので、会社アリ買い物場所アリ観光場所アリといったところでしょうか。ここもテージョ川沿いに立っており、向こう岸との間に架かる橋の名前はヴァスコ・ダ・ガマ橋。ポルトガル人は本当に彼を尊敬しているんだなぁと思いますね。ちなみにこの川はクルーズ船が出るほどの川幅があります。この橋は世界で5番目に長い橋ということなので、もしかしたら瀬戸内海よりも広いのかも……。でも、川は湘南の海のように汚いです(笑)。
 この日の晩御飯はマクドナルドでテイクアウト。アルバイト君が英語を片言でも話せなくて大変な目に合いました……しかも高いし。ハンバーガー系が全て4ユーロ(←おかしいって!)、ポテトとドリンクのセットをつけるのに+0.4ユーロ。原価はいくらだ!


 戻って初めてわかるポルトガルの価値 
 正直、途中はなんてあっさりとした国なんだろう、と思っていたポルトガル。装飾品もないし、これ! という名物もないし、ご飯も味気ないものが多いし。でも、戻って来て時間が経つほど「なんて贅沢な時間だったんだろう」って思うようになりました。だって、ツアーなのに焦ったことないんですもん。いろいろな国にいって、ツアーで周って、あんなにのんびりしていた行動時間は今まで体験していません。自分のペースで見られるなんて、今思うと凄く贅沢です。せかせかした生活に戻ってきたからかもしれませんが。おかげで何があっても焦るのはやめよう、と思うようになりました(笑)。まぁ、相変わらずな生活なのですが。
 そうだな、もう一度行く? と言われたら、行く、と答えます。でも、それはもっと年取ってからでいいかな。まだまだ周りたい国はあるし、見てみたいものもたくさん残っているので。でも、のんびりしたい、普段できない体験がしたい、見たい、と言われたら、ポルトガルはお奨めします。治安もいいしね。
 さて、次の”外”はどこになるやら……。




   NRT




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